Dewey, YAGI Jyukichi

ある本のデューイの宗教観を概説する章において、彼が観察や思考にもとづく探究とは別に「想像力による『全体的自我の統一』」や「『宇宙と自我との調和』を重視」していた点を指摘する文脈で、八木重吉の詩が引用されていた。いずれも『貧しき信徒』という詩集からのものである。

この明るさのなかへ
ひとつの素朴な琴をおけば
秋の美しさに耐えかねて
琴はしずかに鳴りいだすだろう
(「素朴な琴」)

心が美しくなると
そこいらが
明るく かるげになってくる
どんな不思議がうまれても
おどろかないとおもえてくる
はやく
不思議がうまれればいいなあとおもえてくる
(「不思議」)

プラグマティズムの思想 (ちくま学芸文庫)