2009-01-01から1年間の記事一覧

IMAFUKU Ryuta, Borges, Jabès

『身体としての書物』(今福龍太、東京外国語大学出版会、2009年、ISBN:4904575024)を読む。 一冊の書物としての世界 最後に、講義の冒頭で言及した山口昌男『本の神話学』所収の「カバラの伝統−−ゲーテ、フロイト、ボルヘス」から、興味深い文章を引用して…

MINATO Chihiro, Maurice Blanchot

『愛の小さな歴史』(港千尋、インスクリプト、2009年、ISBN:4900997250)を読む。 監督アラン・レネ『ヒロシマ・モナムール』(日本公開時のタイトルは『二十四時間の情事』)1959年、脚本マルグリット・デュラス、主演岡田英次、エマニュエル・リヴァ。 わ…

OHGA Yuhki, Arendt, Dewey, Rorty

『リチャード・ローティ 1931-2007 リベラル・アイロニストの思想』(大賀祐樹、藤原書店、2009年、ISBN:4894347032)を読む。 多数性あるいは多元性 つまり、現代には「政治経済学」なる学問まであるが、アレントは動物としての生命維持に関わる「経済」と…

SHIBATA Toshiko, Arendt

『リベラル・デモクラシーと神権政治 スピノザからレオ・シュトラウスまで』(柴田寿子、東京大学出版会、2009年、ISBN:4130101110)の第六章(「政治的公共圏と歴史認識」−−アーレントにおける「光の物語」と「闇の記憶」)を読む。 自分の住処を自由にかえ…

NAKAMASA Masaki, Arendt

『今こそアーレントを読み直す』(仲正昌樹、講談社現代新書、2009年、ISBN:4062879964)を読む。 過去、共同体、判断 個人の「意志の自由」をめぐる問題系から、政治共同体における「自由」をめぐる問題系へと話題を移すことを正当化するには、人間の「精神…

OHTA Tetsuo, Arendt

『ハンナ=アーレント』(太田哲男、清水書院、2001年、ISBN:4389411802)を読む。 意志 アーレントはこの本の「ドゥンス=スコトゥスと意志の優位」において、中世哲学者ドゥンス=スコトゥスを極めて高く評価する。彼女はスコトゥスの言葉、 意志する、否と意…

HAGIWARA Sakutaro

『猫町 他十七篇』(萩原朔太郎、岩波文庫、1995年、ISBN:4003106237)を読む。 「何が坂の向うにあるのだらう?」 坂のある風景は、ふしぎに浪漫的で、のすたるぢやの感じをあたへるものだ。坂を見てゐると、その風景の向うに、別の遥かな地平があるやうに…

SAWANO Masaki, Gilles Deleuze

『ドゥルーズを「活用」する!』(澤野雅樹、彩流社、2009年、ISBN:4779110564)を読む。 虚構−−手書きの地図 よく出来た映画は我々に無知ゆえの猛省を促し、知の空隙を埋めてくれる有り難い贈り物だとでも言いたいのか。いや、そういうことが問題なのではな…

YAMAGUCHI Masao, anthropology

『学問の春』(山口昌男、平凡社新書、2009年、ISBN:4582854796)を読む。 さまよえる学者たち それが唐突な考え方ではない証拠に、ヨーロッパ中世にフランソワ・ヴィヨン(1431-63?)という詩人がいました。この詩人は詩の先生と共にヨーロッパの大学を渡り…

IWAAKI Hitoshi

『ヒストリエ』(1〜5巻、岩明均、講談社)を読む。

refugees who call themselves/each other 'newcomers'

『菩提樹』『続菩提樹』(1956年、1958年、西独、ウォルフガング・リーベンアイナー監督)をDVDで観る。スピーディでユーモラス、ヴァイタリティと美しい歌声。2枚合わせて約200分。とくに亡命後の「in Amerika」のほうは、50年代のアメリカの街並みを背景…

IWAAKI Hitoshi

『寄生獣−完全版1〜8』(岩明均、講談社、2003年〜)を読む。 (KCデラックス)" title="寄生獣(完全版)(8) (KCデラックス)" class="asin">

Lévi-Strauss, anthropology

『野性の思考』(クロード・レヴィ=ストロ−ス、大橋保夫訳、みすず書房、1976年、ISBN:4622019728)の一部を読み返す。 コギトの虜囚−−人間を通じて学ばれた真理は世界に属する したがって、私の展望の中では、自我は他者に対立するものではないし、人間も世…

Ludwig Wittgenstein, ethics

『ウィトゲンシュタイン哲学宗教日記―1930‐1932/1936‐1937』(イルゼ・ゾマヴィラ編、鬼界彰夫訳、講談社、2005年、ISBN:4062129574)を読む。 賛嘆の叫び 「これは善い、神がそのように命じたのだから」、これは無根拠性の正しい表現である。 倫理的命題は…

KARUBE Tadashi, MARUYAMA Masao

『丸山眞男―リベラリストの肖像』(苅部直、岩波新書、ISBN:4004310121)読む。 人為的秩序としての政治社会 つまり、近代以前から近代以後への学問の進展というものを、人間の主体性の確立という過程からみると、人間は自然に対して自分の主体性を確立した…

MORI Ichiro, Heidegger, KUKI, Arendt

『死と誕生―ハイデガー・九鬼周造・アーレント』(森一郎、東京大学出版会、2008年、ISBN:4130160281)を読み始める。 「記憶は反復の可能性の条件であり、将-来とは再-来なのである。」p234 以上述べた時間構造は、原版においては、次のようにまとめられて…

TOTSUKA Yoji

がんと闘った科学者の記録作者: 戸塚洋二,立花隆出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/05/29メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 49回この商品を含むブログ (29件) を見るブログのほうは見ていないが、この本では著者の、死と向き合う姿勢というより、ど…

strange dream,

昨夜の夢は奇妙な夢で印象に残った。場所は丈の高い草むらの中の一軒家。田舎。鉄道の線路が複線であるのだが、いずれも行き止まっている。そこから、なぜか軽と大型のトラックのような車が入れ替わるように出入りし、どうやらそれで外部世界とつながってい…

the limits of control, Jim Jarmusch,

リミッツ・オブ・コントロール@シネ・リーブル梅田。この映画について、何を書いておくべきか。画面を構成する図柄や色彩の組み合わせの美しさ、だろうか。実際、久しぶりにスペインを訪ねてみたくなったのも、そのせいに違いないのだ。あるいは、映像を支…

Geliebte Clara, Clara Schumann,

クララ・シューマン@シネ・リーブル神戸。 選曲はよかった、と思う。でも、ロベルト・シューマンもヨハネス・ブラームスも人物としてやや中途半端な印象。描かれがちな「嫉妬」と「寛容」との葛藤みたいなものが前面に出ていなかったせいだろうか。それが事…

Dear Doctor, NISHIKAWA Miwa,

ディア・ドクター@シネピピア。 八千草薫と余貴美子の演技が光っていた。二人とも目がすごい。西川美和監督は、「ゆれる」のときには、言葉の表意的な部分でけっこうギチギチに攻めていた気もするのだが、今回は言葉の含意的推意的な部分にむしろ力点を置い…

Shanghai, Suzhou, Hangzhou,

中国旅行から戻る。3泊4日で上海(2泊)や蘇州、杭州(1泊)を訪ねるパックツアーに妻子と共に参加。 関空を出発して上海へ、リニアモーターカーに乗って時速300kmを体験し、黄浦江ナイトクルーズで外灘の夜景を楽しんで*11泊。 森ビルの100階展望台に…

Summer Wars, HOSODA Mamoru,

サマーウォーズ@TOHOシネマズ西宮OS。映画館で見るのは久しぶり。妻と娘と一緒に見た。何度も笑ったり泣いたりした。そして絵としても色づかいや動きなど見所も多い映画だったのだが、それでも前作(時をかける少女)より「後退」しているのでは、と思った…

an extramural lecture,

公開講座をなんとか終える。出来は、前回が80点だとすると今回は60点。話が(自分でも)見えにくかったし、その分元気がなかった。元気がないと説明にも力が入らず、適切なことばが当意即妙に出てこない。まあ何とか時間内に話をまとめることができたので、…

remember yesterday,

窓に降りかかる雨粒を眺めながら、昨日の暮れ方の西の空、水平に棚引く雲が幾筋も重なった山際がよく夕焼けて、美しかったことを思い出している。

Hyogo Prefectural Museum of Art,

「20世紀のはじまり○ピカソとクレーの生きた時代展」@兵庫県立美術館。午後から娘と二人で。車は渋滞。ピカソの「鏡の前の女」がよかった。プレゼントとして、シャガールとピカソの複製が入っている小さな額縁をそれぞれ一つずつ買う。

Clint Eastwood, the end of America

グラン・トリノ@ブルク7。午前中、映画館に行き笑い泣く。満席に近いのでは、と思わせる入り。女性客が多いのは曜日(水曜、レディースデー)のせいか。年配の人も多い。しかし(かっこよすぎる?)ラストはやっぱり引っかかる。アメリカの終わり方なら、…

SUGIMOTO Hiroshi, History of History

杉本博司「歴史の歴史」展@国立国際美術館。自然の豊かさ奥深さ、人間のはるかに遠いものへの、またごくごく小さいものへの飽くなき欲望、芸術とはまさに技術であること、そして時間というものの儚さというか不思議さ、などを実感した展示。

HOSOMI Kazuyuki, Walter Benjamin

『ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」を読む』(細見和之、岩波書店、2009年、ISBN:4000247107)を読み始める。懇切丁寧。少し文脈を広げて捉え直しをしている補論もいい。 たとえば第1章の補論(「言語という媒質に満たされたものとして世界…

the big round moon,

トワイライトタイムに職場を出る。丸い月が大きい。 暖かくなったことは、自転車に乗っていて、顔に当たる羽虫の数が急に増えたのでもわかる。