heaven

IMAFUKU Ryuta, Borges, Jabès

『身体としての書物』(今福龍太、東京外国語大学出版会、2009年、ISBN:4904575024)を読む。 一冊の書物としての世界 最後に、講義の冒頭で言及した山口昌男『本の神話学』所収の「カバラの伝統−−ゲーテ、フロイト、ボルヘス」から、興味深い文章を引用して…

HAGIWARA Sakutaro

『猫町 他十七篇』(萩原朔太郎、岩波文庫、1995年、ISBN:4003106237)を読む。 「何が坂の向うにあるのだらう?」 坂のある風景は、ふしぎに浪漫的で、のすたるぢやの感じをあたへるものだ。坂を見てゐると、その風景の向うに、別の遥かな地平があるやうに…

strange dream,

昨夜の夢は奇妙な夢で印象に残った。場所は丈の高い草むらの中の一軒家。田舎。鉄道の線路が複線であるのだが、いずれも行き止まっている。そこから、なぜか軽と大型のトラックのような車が入れ替わるように出入りし、どうやらそれで外部世界とつながってい…

Hyogo Prefectural Museum of Art,

「20世紀のはじまり○ピカソとクレーの生きた時代展」@兵庫県立美術館。午後から娘と二人で。車は渋滞。ピカソの「鏡の前の女」がよかった。プレゼントとして、シャガールとピカソの複製が入っている小さな額縁をそれぞれ一つずつ買う。

SUGIMOTO Hiroshi, History of History

杉本博司「歴史の歴史」展@国立国際美術館。自然の豊かさ奥深さ、人間のはるかに遠いものへの、またごくごく小さいものへの飽くなき欲望、芸術とはまさに技術であること、そして時間というものの儚さというか不思議さ、などを実感した展示。

the big round moon,

トワイライトタイムに職場を出る。丸い月が大きい。 暖かくなったことは、自転車に乗っていて、顔に当たる羽虫の数が急に増えたのでもわかる。

ABE Masahiko, afterimage

『スローモーション考』(阿部公彦、南雲堂、2008年、ISBN:4523264759)を読み始める。 なぜ、詩はゆっくり終わるのか? 表象が人の心に食い込む、その仕組みが詩の終わりに隠されている、と著者はいう。そして外部、他者としての残像について。 我々は知ら…

"our patchwork heritage is a strength, not a weakness"

『現代詩の鑑賞101』(大岡信編、新書館、1998年、ISBN:4403250319)を繙いて、編んでみる。 どうもちかごろ 舌が紙のようにぺらぺらめくれあがったり*1 イデオロジストの顰め面を窓からつきだしてみる 街は死んでいる*2 割れた少年の尻が夕暮れの岬で 突き…

NISHIWAKI Junzaburo, a walk on the surface of eternity

散歩に出てみたくなって、鴉がかわかわと鳴いている。飛び去っていく、もう一羽の呼びかけに応えているのか。 その声の下で、すっと時計の世界から切れてしまう。音楽が身体から湧きあがってくるあの感じが、もうやってきたのだ。いつもいつも長閑な春として…

Venus, Jupiter and a crescent moon

澄みわたった冬空に浮かぶ三日月と二つの星を見やったとき、思い出したのは宮澤賢治が描いた、ひとつの水彩画だった。そしてやはり同じくらいに大きく輝いて近くにあるはずの(あるはずのない)、あと二つの星を探していた。 薄暮に近い時間だろうか、厚みの…

TAKANO Yoshiro, Ancient Greece

『古代ギリシアの旅』(高野義郎、岩波新書、2002年、ISBN:4004307805)を読み始める。著者の専門は理論物理学である。 ドイツ象徴派の詩人リルケの『ドゥイーノの悲歌』第二も引いておきましょう。 おんみらはアッティカの墓碑に刻まれた 人間のたたずまい…

Rorty, Whitman, Dewey

進歩は、前もって特定できるものに次第に接近していくことではなく、より多くの問題を解決することである。進歩は、私たちが目標に近づいた増加量よりも、過去の私たちを改善した程度によって測られる。 論理や説教は決して人の心を納得させることはない、 …

Dewey, YAGI Jyukichi

ある本のデューイの宗教観を概説する章において、彼が観察や思考にもとづく探究とは別に「想像力による『全体的自我の統一』」や「『宇宙と自我との調和』を重視」していた点を指摘する文脈で、八木重吉の詩が引用されていた。いずれも『貧しき信徒』という…

Santouka, KOIKE Masayo, SUZUKI Risaku

ぽつとりとポットン、あるいは紅から白へある本をぱらぱらとめくっていると、山頭火の句が引いてあって、そういえば家のシクラメンが一輪だけ花を咲かせているのに気がついたのは、いつのことだったろうか、雪がけっこう積もった日の次の朝だから、2月10日に…