2008-01-01から1年間の記事一覧

TANAKA Jun, Aby Warburg

『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』(田中純、青土社、2001年、ISBN:4791759184)第四章蛇儀礼講演だけを覗き読み。 田中純は、ヴァールブルクの蛇儀礼講演を、クロイツリンゲンにあったビンスヴァンガーの私立療養所ベルヴュー(という「地獄」)から脱出…

SATO Yoshiyuki, Louis Althusser

『権力と抵抗』(佐藤嘉幸、人文書院、2008年、ISBN:4409040928)を読み始める。 浅田彰は『構造と力』で、グラムシの言葉「英知においては悲観主義者、だが、意志においては楽観主義者たれ」をモットーにしていたというアルチュセールにふれていた。 本書は…

HIGAKI Tatsuya, ethics

『賭博/偶然の哲学』を再読する。 能動性の領域は奈辺にありうるか。 ……、私は自然においてほとんど根本的に無責任である。科学主義的な世界は、それを明確にした点できわめて重要な意味をもつ。だが私が無責任であるにもかかわらず、私は何かをしなければ…

Kyoto, TAKEUCHI Yoshimi, Aby Warburg

いまとなってはもう昨日のことだが、前日に加藤周一が亡くなっていたことを朝刊ではじめて知って、K氏から紹介されていて、しかしでかけようかどうか、直前まで決めかねていた「公開シンポジウム『竹内好の残したもの』」をやはり聞いてみたいような、聞か…

Venus, Jupiter and a crescent moon

澄みわたった冬空に浮かぶ三日月と二つの星を見やったとき、思い出したのは宮澤賢治が描いた、ひとつの水彩画だった。そしてやはり同じくらいに大きく輝いて近くにあるはずの(あるはずのない)、あと二つの星を探していた。 薄暮に近い時間だろうか、厚みの…

SAIGA Keiko, ethics

『空腹について』(雑賀恵子、青土社、2008年、ISBN:4791764382)を読み始める。薬学部と文学部を出て、農学部の大学院を修了している著者である。 目下の興味は「食人論」。人食いといえば、小説『野火』(大岡昇平)であり、戯曲『ひかりごけ』(武田泰淳…

NAKAI Hisao, Valéry, MINATO Chihiro, Lévi-Strauss

『日時計の影』(中井久夫、みすず書房、2008年、ISBN:4622074370)を読み始める。第七エッセイ。どこから読んでもよいだろう。一度や二度読み通したくらいで読み切ってしまうような中身の薄い文章はひとつもないので、読みたいと思ったところからあちらこち…

Azar Nafisi, Reading Lolita in Tehran

『テヘランでロリータを読む』(アーザル・ナフィーシー、市川恵理訳、白水社、2006年、ISBN:4560027544)を読む。邦訳がでたときから、表紙の写真が気になっていたこともあって、読みたいと思っていたのだが、ひょんなことからまだ読んでもいないのに他人に…

TAJIMA Masaki, logic, ethics

『哲学史のよみ方』(田島正樹、ちくま新書、1998年、ISBN:4480057439)を再読する。「どこから見始めてもよく、同じところへ別ルートからくり返し立ち寄ることもできる。どこにも特権的始源もなければ、目標(テロス)もない」」そんな「街の観光ガイドのよ…

HIGAKI Tatsuya, Foucault, contingency

『賭博/偶然の哲学』(檜垣立哉、河出書房新社、2008年、ISBN:4309244556)を読み始める。 九鬼周造の偶然論をドゥルーズのそれと対照させつつ、その「ポテンシャルや問題性」を指摘する第二章「賭けることの論理 九鬼とドゥルーズ」が面白い。フーコーの生…

Measuring the World, Daniel Kehlmann, Gauss, Humboldt

『世界の測量 ガウスとフンボルトの物語』(ダニエル・ケールマン、瀬川裕司訳、三修社、2008年、ISBN:4384041071)を読み始める。対位法的に書かれているのは、『楽園への道』と同じ。時代は少し遡る。近代化が「急拵え」だったのは、日本ばかりではない。…

NAKAI Hisao, psychopathology

『臨床瑣談』(中井久夫、みすず書房、2008年、ISBN:4622074168)を読む。やはり中井氏の文章は、わたしの精神にとって、興奮剤であるとともに安定剤である。 実際、診察は患者にかかる負荷を最小限にしなければならない。私の頭の中に描かれた地図は多くの…

The Way to Paradise, Mario Vargas Llosa, Tristan, Gauguin

『楽園への道』(世界文学全集 1-2) (マリオ・バルガス=リョサ、田村さと子訳、河出書房新社、2008年、ISBN:4309709427)を読む。フローラ・トリスタンとポール・ゴーギャン。祖母の死後に生まれた孫は、直接には祖母を知らない。 女性や労働者たちの権利獲…

TAJIMA Masaki, Spinoza

『スピノザという暗号』(田島正樹、青弓社、2001年、ISBN:4787210319)を再読する。この本を再読することができたのは、『スピノザ入門』(ピエール=フランソワ・モロー)や『スピノザの世界−神あるいは自然』(上野修)のおかげである。再読した今は、ドゥ…

TAJIMA Masaki, Heidegger

『読む哲学事典』(田島正樹、講談社現代新書、2006年、ISBN:4061498398)を再読する。「アキレスと亀」の解釈4にあらためての笑い。説明してしまうとユーモラスでなくなってしまうという性格をもつ「ユーモア」についての叙述にもセンスを感じる。先のエン…

IWATA Yasuo, Hoelderlin

『いま哲学とはなにか』(岩田靖夫、岩波新書、2008年、ISBN:4004311373)を読み始める。「現代の切迫した諸問題に対する哲学者としての筆者の応答」(あとがき)であり、「哲学者として、現有のすべての力を投入した」(はじめに)とされる力作である。 読…

MIYAZAKI Hayao, UENO Osamu, Spinoza

『スピノザの世界−神あるいは自然』(上野修、講談社現代新書、2005年、ISBN:4061497839)を再読する。スピノザ独自の「目的」と「方法」を『知性改善論』をベースに明らかにしたうえで、『エチカ』第1〜5部のそれぞれのエッセンスをわかりやすく読み解い…

UCHIDA Tatsuru, Tocqueville, democracy

『街場のアメリカ論』(内田樹、NTT出版、2005年、ISBN:475714119X)を読み始める。 「過去のあらゆる精神的な遺産は、ここにおいて規範的なものにまで高められる。しかも孔子は、そのすべてを伝統の創始者としての周公に帰した。そして孔子自身は、自らを『…

Moreau, Spinoza

『スピノザ入門』(ピエール=フランソワ・モロー、松田克進&樋口善郎訳、白水社文庫クセジュ、2008年、ISBN:4560509271)を読む。 原題は「スピノザとスピノザ主義」。スピノザの生涯、著作、著作に示された主題と問題、スピノザ主義の歴史的な受容について…

Christopher Nolan, Zupancic, Lacan

「彼らには想像できないのだ、神の存在を信じている者であっても、その神を完全に無視したまま生きることができる、ということが。」(『リアルの倫理』p147) この言葉を読みながら、8月の終わりに見た映画を思い出していた。『ダークナイト』The Dark Kni…

OSHII Mamoru, Deleuze, Zupancic, Badiou

『スカイ・クロラ The Sky Crawlers』を観てきた@ブルク7。始まりを描いた映画だった。君たちも始めなければ、というよりは、君にも始めることができるだろ、って感じの。 ドゥルーズにおいて永遠回帰とは「同じものの回帰」なのではなく、反対に、同じも…

Herodotus, Ancient Greece

『歴史(上)』(ヘロドトス、松平千秋訳、岩波文庫、1971年、ISBN:4003340515)を読み始める。 人間界の出来事が、偉大な驚嘆すべき事跡の数々でさえ、やがて時の流れと共に忘れ去られることを恐れて、とりわけギリシア人とバルバロイたちとの戦いを、その…

NOTOMI Noburu, Ancient Greek Philosophy

『ソフィストとは誰か?』(納富信留、人文書院、2006年、ISBN:4409040804)を読み始める。

OKADA Atsushi, Sigmund Freud

『フロイトのイタリア 旅・芸術・精神分析』(岡田温司、平凡社、2008年、ISBN:4582702791)を読み始める。 旅するフロイト。自らの鉄道恐怖をねじ伏せて、くり返したイタリアへの旅。そして葉書で、手紙で、イタリアの芸術を語るフロイト。自己分析の始まり…

losing it is getting it

『記憶の棘』Birth(2004年、米、ジョナサン・グレイザー監督)…getting it is losing it 『マルタの鷹』The Maltese Falcon(1941年、米、ジョン・ヒューストン監督)…getting it is losing it 『グリーン・デスティニー』Crouching Tiger, Hidden Dragon(…

successors

『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』Good Will Hunting(1997年、米、ガス・ヴァン・サント監督) 『輝ける女たち』Family Hero(2006年、仏、ティエリー・クリファ監督) 『フランシスコの2人の息子』Two Sons of Francisco(2005年、伯、ブレノ・シ…

to walk? or to run?

『ジェリー』Gerry(2002年、米、ガス・ヴァン・サント監督)…一人と生命 『ラン・ローラ・ラン』Run, Lola, Run(1998年、独、トム・ティクヴァ監督)…二人と生命 『サン・ジャックへの道』Saint-Jacques... La Mecque (2005年、仏、コリーヌ・セロー監督…

FUJII Yoshio, Ancient Greece

『ギリシアの古典』(藤井義夫、中公新書、1966年、ISBN:4121001028)を読み始める。 エピメテウス(Epi-metheus = after thought)はその名の語源が示すように、「後からの思案」を、プロメテウス(Pro-metheus = before thought)は「前もっての思慮」を意…

TAKANO Yoshiro, Ancient Greece

『古代ギリシアの旅』(高野義郎、岩波新書、2002年、ISBN:4004307805)を読み始める。著者の専門は理論物理学である。 ドイツ象徴派の詩人リルケの『ドゥイーノの悲歌』第二も引いておきましょう。 おんみらはアッティカの墓碑に刻まれた 人間のたたずまい…

Bicycle

チェーンを交換してもらう。職場と最寄り駅との往復に使っている自転車だが、乗り始めてもう15年にもなるだろうか。昨年ついにダイナモがいかれ、今度はいよいよチェーンというわけだが、手入れどころか掃除もろくにせずに来たから、そこいらじゅう錆だらけ…