TAKANO Yoshiro, Ancient Greece

古代ギリシアの旅』(高野義郎、岩波新書、2002年、ISBN:4004307805)を読み始める。著者の専門は理論物理学である。

ドイツ象徴派の詩人リルケの『ドゥイーノの悲歌』第二も引いておきましょう。

  おんみらはアッティカの墓碑に刻まれた
  人間のたたずまいのつつましさに
  息をひそめたことはなかったか
  愛と別れは私たちの場合とは別のものでできているかのように
  そっとふたりの肩の上におかれているのではないか
  想いたまえふたりの手を
  からだには力が満ちているのに
  その手には力がこもることなく触れ合っているのを
  自らを抑えているこの人たちは知っていたのだ
  これが私たちのなしうる限りであることを
  そのようにそっと触れ合うことが
  私たちのありようであることを    (上原和訳、一部加筆)p124-125

古代ギリシアの旅―創造の源をたずねて (岩波新書)