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NAKAMASA Masaki, Arendt

『今こそアーレントを読み直す』(仲正昌樹、講談社現代新書、2009年、ISBN:4062879964)を読む。 過去、共同体、判断 個人の「意志の自由」をめぐる問題系から、政治共同体における「自由」をめぐる問題系へと話題を移すことを正当化するには、人間の「精神…

OHTA Tetsuo, Arendt

『ハンナ=アーレント』(太田哲男、清水書院、2001年、ISBN:4389411802)を読む。 意志 アーレントはこの本の「ドゥンス=スコトゥスと意志の優位」において、中世哲学者ドゥンス=スコトゥスを極めて高く評価する。彼女はスコトゥスの言葉、 意志する、否と意…

HAGIWARA Sakutaro

『猫町 他十七篇』(萩原朔太郎、岩波文庫、1995年、ISBN:4003106237)を読む。 「何が坂の向うにあるのだらう?」 坂のある風景は、ふしぎに浪漫的で、のすたるぢやの感じをあたへるものだ。坂を見てゐると、その風景の向うに、別の遥かな地平があるやうに…

SAWANO Masaki, Gilles Deleuze

『ドゥルーズを「活用」する!』(澤野雅樹、彩流社、2009年、ISBN:4779110564)を読む。 虚構−−手書きの地図 よく出来た映画は我々に無知ゆえの猛省を促し、知の空隙を埋めてくれる有り難い贈り物だとでも言いたいのか。いや、そういうことが問題なのではな…

YAMAGUCHI Masao, anthropology

『学問の春』(山口昌男、平凡社新書、2009年、ISBN:4582854796)を読む。 さまよえる学者たち それが唐突な考え方ではない証拠に、ヨーロッパ中世にフランソワ・ヴィヨン(1431-63?)という詩人がいました。この詩人は詩の先生と共にヨーロッパの大学を渡り…

IWAAKI Hitoshi

『ヒストリエ』(1〜5巻、岩明均、講談社)を読む。

IWAAKI Hitoshi

『寄生獣−完全版1〜8』(岩明均、講談社、2003年〜)を読む。 (KCデラックス)" title="寄生獣(完全版)(8) (KCデラックス)" class="asin">

Lévi-Strauss, anthropology

『野性の思考』(クロード・レヴィ=ストロ−ス、大橋保夫訳、みすず書房、1976年、ISBN:4622019728)の一部を読み返す。 コギトの虜囚−−人間を通じて学ばれた真理は世界に属する したがって、私の展望の中では、自我は他者に対立するものではないし、人間も世…

Ludwig Wittgenstein, ethics

『ウィトゲンシュタイン哲学宗教日記―1930‐1932/1936‐1937』(イルゼ・ゾマヴィラ編、鬼界彰夫訳、講談社、2005年、ISBN:4062129574)を読む。 賛嘆の叫び 「これは善い、神がそのように命じたのだから」、これは無根拠性の正しい表現である。 倫理的命題は…

KARUBE Tadashi, MARUYAMA Masao

『丸山眞男―リベラリストの肖像』(苅部直、岩波新書、ISBN:4004310121)読む。 人為的秩序としての政治社会 つまり、近代以前から近代以後への学問の進展というものを、人間の主体性の確立という過程からみると、人間は自然に対して自分の主体性を確立した…

MORI Ichiro, Heidegger, KUKI, Arendt

『死と誕生―ハイデガー・九鬼周造・アーレント』(森一郎、東京大学出版会、2008年、ISBN:4130160281)を読み始める。 「記憶は反復の可能性の条件であり、将-来とは再-来なのである。」p234 以上述べた時間構造は、原版においては、次のようにまとめられて…

TOTSUKA Yoji

がんと闘った科学者の記録作者: 戸塚洋二,立花隆出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2009/05/29メディア: 単行本購入: 6人 クリック: 49回この商品を含むブログ (29件) を見るブログのほうは見ていないが、この本では著者の、死と向き合う姿勢というより、ど…

Hyogo Prefectural Museum of Art,

「20世紀のはじまり○ピカソとクレーの生きた時代展」@兵庫県立美術館。午後から娘と二人で。車は渋滞。ピカソの「鏡の前の女」がよかった。プレゼントとして、シャガールとピカソの複製が入っている小さな額縁をそれぞれ一つずつ買う。

SUGIMOTO Hiroshi, History of History

杉本博司「歴史の歴史」展@国立国際美術館。自然の豊かさ奥深さ、人間のはるかに遠いものへの、またごくごく小さいものへの飽くなき欲望、芸術とはまさに技術であること、そして時間というものの儚さというか不思議さ、などを実感した展示。

HOSOMI Kazuyuki, Walter Benjamin

『ベンヤミン「言語一般および人間の言語について」を読む』(細見和之、岩波書店、2009年、ISBN:4000247107)を読み始める。懇切丁寧。少し文脈を広げて捉え直しをしている補論もいい。 たとえば第1章の補論(「言語という媒質に満たされたものとして世界…

ITO Kunitake, William James, a pluralistic universe

『ジェイムズの多元的宇宙論』(伊藤邦武、岩波書店、2009年、ISBN:4000234609)を読み始める。 ジェイムズがその理性批判にかんして徹頭徹尾固執するのは、個人の「経験」ということである。人間とは深い罪の意識や悪への鋭い意識によって絶望へと導かれる…

Ota Yoshinobu, Anthropology of Traces and Surprises

『亡霊としての歴史』(太田好信、人文書院、2008年、ISBN:4409530372)を読み始める。 いま救済が必要なのは、文化ではなく、人類学のほうである。人類学は、近代を生きる先住民たちのように、変化を余儀なくされつつも、果たして生き残ることができるのだ…

Alfred North Whitehead, Science and the Modern World

『科学と近代世界』(ホワイトヘッド、上田泰治&村上至孝訳、松籟社、1981年、ISBN:4879840149)を読み始める。 第五章「ロマン主義的反動」にあるくだりで、続きの一段落だが、長いので五つに分けて記す。 万有をうち貫き、実在するものの性格それ自身に内…

Judith Butler, Giving an Account of Oneself

『自分自身を説明すること』(ジュディス・バトラー、佐藤嘉幸&清水知子訳、月曜社、2008年)を読み始める。 ヘーゲルやニーチェ、ラプランシュやレヴィナス、アドルノやフーコーを吟味しながら、著者は、自分を説明すること、またその条件について考えてい…

Enrique Vila-Matas, BARTLEBY Y COMPANIA

『バートルビーと仲間たち』(エンリーケ・ビラ=マタス、木村榮一訳、新潮社、2008年、ISBN:4105057715)を読み始める。 ・マルセル・マニエールという作家の〈幕間劇〉として紹介されている対話 いいえ「重要でしかも簡単に言えることは、人間が考え、懸命…

ABE Masahiko, afterimage

『スローモーション考』(阿部公彦、南雲堂、2008年、ISBN:4523264759)を読み始める。 なぜ、詩はゆっくり終わるのか? 表象が人の心に食い込む、その仕組みが詩の終わりに隠されている、と著者はいう。そして外部、他者としての残像について。 我々は知ら…

MIZUMURA Minae, Modern Japanese Literature

『ユリイカ』2月号(特集=日本語は亡びるのか?、第41巻第2号、ISSN:1342-5641)を読み始める。 ・蓮實重彦「時限装置と無限連鎖」 それは、『凡庸な芸術家の肖像 マクシム・デュ・カン論』でくわしく述べたことだが、たとえばある程度まで頭のよいデュ・…

KAWADA Junzo, anthropology

『文化の三角測量』(川田順造、人文書院、2008年、ISBN:4409530380)を読み始めて、同じ著者の「時代と学問−−学問は世の役に立つか」(『人類の地平から』(川田順造、ウェッジ、2004年、ISBN:4900594741)所収)を再読したり。 それまで私が頼ろうとしてい…

NISHIWAKI Junzaburo, a walk on the surface of eternity

散歩に出てみたくなって、鴉がかわかわと鳴いている。飛び去っていく、もう一羽の呼びかけに応えているのか。 その声の下で、すっと時計の世界から切れてしまう。音楽が身体から湧きあがってくるあの感じが、もうやってきたのだ。いつもいつも長閑な春として…

TANAKA Jun, Aby Warburg

『アビ・ヴァールブルク 記憶の迷宮』(田中純、青土社、2001年、ISBN:4791759184)第四章蛇儀礼講演だけを覗き読み。 田中純は、ヴァールブルクの蛇儀礼講演を、クロイツリンゲンにあったビンスヴァンガーの私立療養所ベルヴュー(という「地獄」)から脱出…

SATO Yoshiyuki, Louis Althusser

『権力と抵抗』(佐藤嘉幸、人文書院、2008年、ISBN:4409040928)を読み始める。 浅田彰は『構造と力』で、グラムシの言葉「英知においては悲観主義者、だが、意志においては楽観主義者たれ」をモットーにしていたというアルチュセールにふれていた。 本書は…

HIGAKI Tatsuya, ethics

『賭博/偶然の哲学』を再読する。 能動性の領域は奈辺にありうるか。 ……、私は自然においてほとんど根本的に無責任である。科学主義的な世界は、それを明確にした点できわめて重要な意味をもつ。だが私が無責任であるにもかかわらず、私は何かをしなければ…

Kyoto, TAKEUCHI Yoshimi, Aby Warburg

いまとなってはもう昨日のことだが、前日に加藤周一が亡くなっていたことを朝刊ではじめて知って、K氏から紹介されていて、しかしでかけようかどうか、直前まで決めかねていた「公開シンポジウム『竹内好の残したもの』」をやはり聞いてみたいような、聞か…

SAIGA Keiko, ethics

『空腹について』(雑賀恵子、青土社、2008年、ISBN:4791764382)を読み始める。薬学部と文学部を出て、農学部の大学院を修了している著者である。 目下の興味は「食人論」。人食いといえば、小説『野火』(大岡昇平)であり、戯曲『ひかりごけ』(武田泰淳…

NAKAI Hisao, Valéry, MINATO Chihiro, Lévi-Strauss

『日時計の影』(中井久夫、みすず書房、2008年、ISBN:4622074370)を読み始める。第七エッセイ。どこから読んでもよいだろう。一度や二度読み通したくらいで読み切ってしまうような中身の薄い文章はひとつもないので、読みたいと思ったところからあちらこち…